#ホームページ Ⅳ
ユーザビリティとアクセシビリティ Webサイトの新たな標準
01 アクセシビリティとは Webサイトへのアクセス性
Webサイトの設計と開発にはさまざまな要素が含まれますが、その中でも「アクセシビリティ」は極めて重要な部分を占めています。
アクセシビリティの基本概念
アクセシビリティとは、ウェブサイトやモバイルアプリなどのデジタル製品が、身体的な制約や技術的な制約があるユーザーであっても、全ての人が利用できるように設計されていることを指します。これには視覚や聴覚の障害者、高齢者、初心者など、全てのユーザーを包括します。
アクセシビリティとユーザビリティの違い
アクセシビリティとユーザビリティは密接な関連性がありますが、意味するところは異なります。ユーザビリティは「使いやすさ」を意味し、ユーザーが製品やサービスを効果的、効率的に、そして満足度を持って利用できる程度を指します。一方、アクセシビリティは「アクセス可能さ」を意味し、すべての人々が製品やサービスを利用できるようにすることを目指します。
アクセシビリティが求められる理由
アクセシビリティは、全ての人が情報を等しく得られるようにするという観点から、社会的な責任ともいえます。また、アクセシビリティの高いウェブサイトはSEOにも寄与し、サイトの認知度を高める役割も果たします。このため、アクセシビリティはウェブサイト設計・開発において重要な要素となっています。
02 アクセシビリティのガイドライン 国際的な基準と評価
アクセシビリティのガイドラインとは?
アクセシビリティのガイドラインは、ウェブサイトが全てのユーザーに対して簡単にアクセスできるようにするための基準を定めたものです。このガイドラインは、視覚・聴覚・運動・認知に障害のある人々だけでなく、高齢者や技術未熟者、環境上の制限があるユーザーなど、幅広い人々のアクセスを容易にします。
達成基準とその評価レベル
アクセシビリティのガイドラインでは、具体的な達成基準と評価レベルが定められています。具体的には「A」「AA」「AAA」の3つのレベルがあり、それぞれが異なる要件を満たしています。「A」は最も基本的なアクセシビリティ要件、「AA」はより高度な要件を満たし、「AAA」は最も高いアクセシビリティを目指すための要件となります。
国際的な基準の活用事例
国際的なアクセシビリティの基準は、多くのウェブ開発者やデザイナーにとって参考となるものです。例えば、アメリカでは「Section 508」という法律によって公的機関のウェブサイトは「WCAG 2.0」のレベル「AA」を満たすことが必須とされています。一方で、欧州連合(EU)では2016年以降、公的機関のウェブサイトやモバイルアプリは「EN 301 549」という基準を満たすことが求められています。これらの基準は「WCAG 2.1」に準拠しており、公平な情報アクセスを保障するための重要な基準となっています。
03 Webアクセシビリティの最新の考え方とその実践
現代のWebアクセシビリティの考え方
最近のWebアクセシビリティの考え方は、ただ技術的なガイドラインを満たすだけでなく、ウェブサイトやアプリの使用にあたって「誰もが平等に情報にアクセスし、交流できる」環境を提供することを重視しています。具体的には、情報設計やインタラクションデザイン、コンテンツの作成に至るまで、全てのプロセスでアクセシビリティを考慮することが求められています。
実践事例とその効果
実際にアクセシビリティを考慮したウェブサイトの構築を行い、成功を収めた事例は多く存在します。例えば、Appleの公式ウェブサイトは、視覚、聴覚、運動、学習と注意、リーディングと言語能力など、あらゆる障害を持つ人々のニーズに配慮した設計がされています。その結果、サイトへの訪問者全体が円滑に情報にアクセスし、製品を理解し、購入に至るプロセスを経験することが可能になっています。
弊社の事例としては国立研究開発法人物質・材料研究機構さんのホームページを「WCAG 2.1」基準で制作しました。
アクセシビリティ向上のためのチェックリスト
アクセシビリティを向上させるためのチェックリストは、ウェブサイトの設計や開発において非常に重要なツールです。以下に、その一部を紹介します。
- 1.サイト内の全ての画像には適切なaltテキストが設定されていますか?
- 2.ビデオや音声コンテンツには、適切な字幕や書き起こし(トランスクリプト)が用意されていますか?
- 3.全てのリンクは適切に説明され、どこへ遷移するのかが明確に理解できますか?
- 4.サイト内の全てのテキストは、背景とのコントラストが十分にあり、視覚障害者でも読みやすいものになっていますか?
これらは、アクセシビリティを確保するための基本的な要素ですが、さらに具体的な要件や達成基準は、WCAGなどのガイドラインを参照することをおすすめします。
04 具体的なアクセシビリティ改善テクニック
色彩とコントラストの選択
Webサイトの色彩とコントラストは、視覚的な情報を伝える重要な要素です。特に視力に制限があるユーザーや色覚異常のユーザーにとっては、適切な色彩とコントラストの選択は情報アクセスのための基本的な要件となります。
高コントラストの色を使用することでテキストが目立つようにし、色の組み合わせを選ぶ際には色覚異常のユーザーでも区別できるように考慮することが重要です。また、色だけでなく形やサイズなども活用して情報を伝えることで、より多くのユーザーがアクセスしやすいWebサイトにすることが可能となります。
適切なフォントとフォントサイズの選択
Webサイトのフォントとそのサイズも、情報を理解する上で重要な要素となります。フォントは読みやすさを左右し、フォントサイズは特に視力が弱いユーザーにとって重要な要素となります。
一般的に、サンセリフフォントがデジタル画面での読みやすさに優れています。また、フォントサイズは最低でも16pxが推奨されています。ただし、ユーザーが自由にフォントサイズを変更できるようにすることが最も重要です。
キーボード専用ナビゲーションの提供
Webサイトをナビゲートするためにマウスを使用できないユーザーもいます。そのため、キーボードだけで全ての機能にアクセスできるようにすることは、Webサイトのアクセシビリティを高める上で重要な要素です。
具体的には、タブキーを使用したナビゲーション、スキップリンクの提供、フォーカス表示の改善などが考えられます。
ARIA属性を用いたアクセシビリティの強化
ARIA(Accessible Rich Internet Applications)属性は、Webのアクセシビリティを強化するための技術です。これはスクリーンリーダーのユーザーなど、特定の補助技術を使用するユーザー向けに作られています。
ARIA属性を使用すると、非テキストコンテンツの情報、ウェブページの構造、ウェブページ上でのユーザーの現在位置など、通常は視覚的にしか伝えられない情報をテキスト形式で提供することができます。これにより、より多くのユーザーがウェブサイトの内容を完全に理解し、利用することが可能となります。
05 アクセシビリティのテストとツール
アクセシビリティテストの重要性
Webサイトのアクセシビリティを向上させるためには、その評価と改善のためのテストが必須です。アクセシビリティテストによって、Webサイトが全てのユーザーに対して十分に機能しているか、また利用しやすいかを確認することが可能になります。
アクセシビリティテストは、自動化されたツールによるチェックだけでなく、人間による手動チェックも含まれます。また、可能であれば実際の利用者(特に障害を持つユーザー)によるユーザビリティテストを行うことも重要です。
便利なアクセシビリティテストツール
アクセシビリティテストのためのツールは多く存在し、それぞれが異なる視点からサイトのアクセシビリティを評価します。以下にいくつかの便利なツールを紹介します。
- 1.WAVE: WAVE (Web Accessibility Evaluation Tool)は、Webページのアクセシビリティを評価するための無料ツールです。WebページのURLを入力するだけで、ページ上のアクセシビリティ問題を視覚的にハイライトします。
- 2.AXE: AXEは、デベロッパー向けのアクセシビリティテストツールです。ChromeとFirefoxの拡張機能として利用でき、開発者ツールから直接アクセシビリティのチェックが行えます。
- 3.NVDA: NVDA (NonVisual Desktop Access)は、視覚障害者向けのスクリーンリーダーで、Webサイトがスクリーンリーダーに対応しているかをテストするのに役立ちます。
これらのツールを適切に活用することで、Webサイトのアクセシビリティを確認し、問題点を改善することが可能となります。
06 アクセシビリティと法規制
デジタルアクセシビリティに関する法規制
デジタルアクセシビリティは、単にユーザー体験の向上だけでなく、法的な要件でもあります。多くの国と地域で、公共部門や一部の民間企業に対してウェブアクセシビリティの改善が義務付けられています。
これらの法律は、障害を持つ人々が情報にアクセスし、サービスを利用する権利を保護するもので、Webサイトやアプリケーションが全てのユーザーにとって使いやすいものでなければなりません。
遵守すべき主要な法律と基準
以下に、デジタルアクセシビリティに関するいくつかの主要な法律と基準を紹介します。
- 1.WCAG (Web Content Accessibility Guidelines): 国際的に最も広く認知されているウェブアクセシビリティの基準です。最新版はWCAG 2.1で、AからAAAまでの3つのレベルの達成基準があります。
- 2.ADA (Americans with Disabilities Act): アメリカでは、公共の場所での障害者差別を禁じているADAが、ウェブサイトにも適用されると解釈されています。
- 3.Section 508: アメリカの連邦政府機関は、Section 508により、その提供する電子情報技術が全てのユーザーにとってアクセシブルであることが求められています。
- 4.日本のJIS X 8341-3: 日本では、情報通信における障害者、高齢者等の利用環境に配慮したガイドラインであるJIS X 8341-3があります。
これらの法律や基準を理解し、遵守することで、全てのユーザーに対するサイトのアクセシビリティを保証するとともに、法的なリスクから自組織を保護することができます。
07 アクセシビリティとビジネスへの影響
アクセシビリティと顧客満足度
アクセシビリティを高めることは、全てのユーザーの満足度を向上させることに直結します。サイトが使いやすいほど、ユーザーは長く滞在し、より多くのページを閲覧します。これはより多くのエンゲージメントを意味し、それが最終的にはより多くのリードや販売につながる可能性があります。
また、アクセシビリティを改善するという取り組み自体が、顧客からの信頼を得るための重要な手段になることもあります。特に、障害を持つユーザーや高齢者など、特別な配慮を必要とするユーザーからの評価が高まることが期待できます。
アクセシビリティとブランドイメージ
アクセシビリティの高いWebサイトは、ブランドのポジティブなイメージを構築するのに役立ちます。企業がWebアクセシビリティに取り組むことは、その企業が社会的な包摂性と平等を重視しているというメッセージを強く発信します。
さらに、アクセシビリティ違反のニュースが広まると、企業の評判に大きなダメージを与える可能性があります。法的な問題だけでなく、顧客や一般の人々からの信頼を失う可能性もあります。したがって、アクセシビリティはブランド管理の一部として考えるべき重要な要素であると言えるでしょう。
アクセシビリティは、全ての人が情報に平等にアクセスできることを保証するだけでなく、ビジネスにおける顧客満足度の向上やブランドイメージの構築にも大きく寄与する重要な要素です。この記事を通じてその重要性を理解していただき、Webサイトのアクセシビリティ向上に取り組んでいただければ幸いです。
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CONTENTS
ホームページ XX Ⅸ
ブランディングを強化するホームページ制作のコツ
ホームページ XX Ⅷ
ターゲット市場に最適化したホームページ制作の方法
ホームページ XX Ⅶ
UXデザインでユーザーを惹きつけるホームページ制作
ホームページ XX Ⅵ
ホームページでビジネスを成長させるための戦略
ホームページ XX Ⅴ
ホームページの開設目的と役割
ホームページ XX Ⅳ
パーパスブランディングの重要性:企業のビジョンを具現化するデザイン戦略
ホームページ XX Ⅲ
モバイルファースト時代におけるホームページ制作の重要性
ホームページ XX Ⅱ
デザインと課題解決の融合:企業の本当の価値を引き出すブランディング
ホームページ XX I
デザインの力で価値を可視化する:UI/UXの未来像
ホームページ XX
問い合わせが急増!ホームページで効果的なCTA設置の秘訣
ホームページ ⅩⅨ
ブランディングとECの融合:オンラインビジネスの新たな潮流
ホームページ ⅩVIII
マーケティングから始まるホームページ制作の成功法則
#ホームページ ⅩⅦ
ホームページの集客術 SNSの効果的な活用法
#ホームページ ⅩⅥ
AIの進化と共に変わるホームページ制作:新たな関係性の創造
#ホームページ ⅩⅤ
ホームページと採用:過去の教訓と未来への展望
#ホームページ ⅩⅣ
企業の顔となるホームページ:ブランディング戦略を活かした制作術
ホームページ ⅩIII
ブランディングの核心:ゴールデンサークルを活用した価値の可視化
ホームページ ⅩⅡ
ホームページ制作におけるChatGPTの役割と新時代のSEO戦略
ホームページ ⅩⅠ
ホームページの保守管理とSEO|メンテナンスのSEOへの影響
ホームページ Ⅹ
SEOとGA4|新しいアナリティクス時代の最前線
ホームページ Ⅸ
コンテンツファーストなホームページ制作
ホームページ Ⅷ
効果的なWEBサイト制作のポイント|目的を明確にする理由
ホームページ Ⅶ
金沢でのホームページ制作費用:予算別ガイドと選び方
#ホームページ Ⅵ
SEO対策の種類と詳細:内部対策と外部対策の違いについて
#ホームページ Ⅴ
SEO対策で変わるホームページの可能性:効果的な戦略と実施法
#ホームページ Ⅳ
ユーザビリティとアクセシビリティ Webサイトの新たな標準
#ホームページ Ⅲ
Webサイトのレスポンシブデザイン モバイルフレンドリーの重要性
#ホームページ Ⅱ
ホームページ作成を依頼する前に知っておきたい5つのポイント
#ホームページ Ⅰ